【名器の記憶】Martin D-18 1954年製のネックリセット&Tバーロッドの魅力

【名器の記憶】Martin D-18 1954年製のネックリセット&Tバーロッドの魅力

シンシアギターズで4月に販売した、思い入れ深いMartin D-18(1954年製)。

購入時にオーナー様よりご依頼をいただき、ネックリセットを中心としたチューンナップをリペアさんに依頼しています。

今回は運良く、1954年製D-18に使用されている“Tバーロッド”の構造を確認できる貴重な機会を得て、写真を撮ることができました。

冒頭の写真には、ネック内部にぴったりと収まったT字型スチール(solid steel)補強材=Tバーロッドの姿が映っています。

こうした名器の内部構造を実際に拝める機会はとてもレアで、私も初めて見ることができたため、ギター好きの方にお伝えしたくブログを書きました。

Tバーロッド(T-bar rod)とは、1934年から1967年頃までのMartinギターに採用されていたネック補強材です。
その名の通り、断面が“T”字型になった無垢のスチール材(鋼)で、ネック内部に埋め込まれています。現代的な可動式トラスロッドのような調整機構はなく、あくまで固定式の補強構造です。

このT字型のスチールロッドは、中空ではなく無垢(solid)構造で、軽量ながらもネックの剛性を保つのに十分な強度を備えています。そのため、ネックの不要な重量を抑えつつ、ギター全体の振動や共鳴を妨げない構造となっているのが特徴です。

ネックが振動しやすくなることで、ギター全体の共鳴が向上し、倍音豊かで自然な鳴りが得られると評価されています。
さらに、当時は現在では入手困難な高品質な木材が使用されていたこともあり、ネック自体が反りにくかったとも言われています。

1967年以降は、スクエアロッド(断面が四角い中空スチール棒)へと仕様が変更されます。

この1954年製のD-18は、いわゆるMartinの黄金期(1930年代〜40年前半)の設計思想と音響バランスを色濃く受け継ぐ、戦後期の名品です。

販売時でもとてもいい音がしていましたが、チューンナップで弾きやすさが向上し、どんな風になるのかとても楽しみです。

納期は3-4ヶ月との事ですので、もうじき仕上がってくる気配がしています😊

当店では、こうしたヴィンテージや中古ギターの販売・買取・メンテナンスを行っております。

思い出の詰まった1本を、適切な修理で本来の姿に戻し、次の世代へとつなぐお手伝いをしています。

ご相談はお気軽にどうぞ!

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